東京高等裁判所 昭和52年(ネ)853号 判決 1977年10月26日
控訴人
小寺秀信
右訴訟代理人
貝塚次郎
被控訴人
西川洋子
右訴訟代理人
圓谷孝男
主文
本件控訴を棄却する。
(但し、原判決主文第一項中「別紙物件目録」とあるのを「別紙目録」と、別紙目録中、一の宅地の「持分一六四・一四二分の二九一六」とあるのを「一六四一四二分の二九一六」とそれぞれ更正する。)
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実《省略》
理由
一当裁判所も、被控訴人の控訴人に対する本訴請求は、原判決認容の限度において正当であると判断するものであるが、その理由は、次のとおり、付加、訂正するほか、原判決理由欄の記載(但し、専ら被控訴人の控訴人に対する請求に関する判断部分に限る。)と同じであるから、これを引用する。
1 原判決一八枚目表三行目の「原告が本件土地、建物を所有していること」とあるのを削り、同七行目の末尾に、次の記載を加える。
<証拠>を綜合すれば、被控訴人は昭和四五年一〇月一日頃夫修三を介して訴外興和地所株式会社から本件土地、建物を金三六〇万円で買受けたこと、右購入資金のうち、約三分の二は被控訴人が昭和三九年七月から始めたスピード写真業から得た収益より支出し、残り約三分の一は夫修三から妻である被控訴人に手渡された生活費の一部を被控訴人が貯蓄していたものをこれに充てたこと、そして、本件土地、建物の所有権取得登記は、修三がその申請手続を代行して、被控訴人名義としたこと、その後本件土地、建物の権利証は昭和四八年一月二五日まで被控訴人が所持していたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
控訴人は、本件土地、建物の購入資金の一部には修三が被控訴人に手渡した生活費の一部が含まれていることを理由に、本件土地、建物は被控訴人と修三との共有財産であると主張する。しかし、本件土地、建物が前記認定の事情で被控訴人の所有名義となつている以上、その購入資金の約三分の一が修三の与えた金員のうちから支払われたものであつても、本件土地建物はその全部が被控訴人の特有財産として、被控訴人の所有に属するものとされたと認めるのが相当である。
しからば、本件土地、建物が被控訴人と修三との共有財産であるとの控訴人の前記主張及びこれを前提とする控訴人のその余の主張は、いずれも採用できない。<後略>
(松永信和 槽谷忠男 浅生重機)